元銀行員、湘南出身Webライターのはましょーです。
私は銀行のリテール営業マンとして約3年間、個人の富裕層向けに外貨預金や投資信託、保険商品や相続関連業務の営業をしておりました。
その中で勉強したり学んだ投資に対する考え方について、これから投資を始めようと考えている人、とりあえず投資を初めて見たけどよくわからず商品を買っている人に向けて、役に立つ情報を配信しています。
資産運用を始めている多くの方は、地道に貯蓄をして資産を蓄えられた、または退職金でまとまった資産ができたなど、さまざまな形でお金を手に入れられた方だと思います。そして銀行や証券会社に預け営業を受けて、株など何かしらの金融商品を購入しているのではないでしょうか。
そこで投資に興味を持ち始め、日経新聞を読んだり、テレビ番組のモーニングサテライト、通称「モーサテ」や、ワールドビジネスサテライト、通称「WBS」を見て、勉強に励む方もいらっしゃると思います。
その中で、各金融機関のアナリスト、ストラテジスト、エコノミストが「タカ派」「ハト派」「強気」「弱気」など、それぞれの見方を論じていますよね。
そこでみなさん、こう思うのではないでしょうか?
「結局、どの人の言うことが正しいのだろうか?」
「誰が正しいことを言っているのだろうか?」
「あれ、勉強して専門家の話を聞いても株価の予想は全然当たらないじゃん」
ということで今回は、
なぜ、専門家の論じる相場の見通しはバラバラで、予想は外れるのかということについてお伝えします。そのことから、株価の予想はできない、もしくはあまり意味がない、ということに言及します。
【投資のプロを信じるな?】専門家でも株価を予想できない理由
結論、
投資のプロでも株価の予想はできない理由は下記の2点です。
- 将来に起こることは誰にも予想ができないことであり、常に想定外のことが起きているため。
- 仮に先の未来のことがわかっていたとしても、株価など相場の価格はファンダメンタルズだけでなく、投資家のその時々の感情によって価格が決まっており、経済の実態と株価は常に乖離が起きているため。
このことについて、順に説明していきます。
市場/相場とは
まず、市場と相場の違いについておさらいしておきたいと思います。
①市場とは
「市場」
1 売り手と買い手とが特定の商品や証券などを取引する場所。中央卸売市場・証券取引所(金融商品取引所)・商品取引所など。マーケット。
2 財貨・サービスが売買される場についての抽象的な概念。国内市場・労働市場・金融市場など。マーケット。
3 商品の販路。マーケット。「市場開発」引用:コトバンク https://kotobank.jp/word/%E5%B8%82%E5%A0%B4-31361
市場とは、多数の市場(マーケット)への参加者(売り手と買い手)が注文を出し合うことによって、その商品の価格を決める仕組みを持つ場のことです。
②相場とは
「相場」
1 市場で取引されるその時々の商品・株式・債券・外国為替などの値段。時価。市価。「相場が上向きになる」
2 実物・現物・直物取引ではなく、市場における価格変動によって生じる差額で利益を得ようとする投機的取引。「相場を張る」「相場に手を出す」「相場で当てる」
3 ある物事についての世間一般の考え方や評価。また、世間並みと認められる程度。「親は口うるさいものと相場が決まっている」「初任給は相場並みだ」引用:コトバンク https://kotobank.jp/word/%E7%9B%B8%E5%A0%B4-553034
相場とは、需要と供給によって変動するモノなどの値段(価格)のことになります。身近な食品や日常生活の消耗品なども、需要と供給によって価格が変動しています。この価格が変動するには、世の中の全体の政治や経済、景気動向、為替レートも関係します。例えば、世間を賑わせたトランプ大統領の動向や中国の輸出入に関わる貿易管理制度の話なども、相場の変動要因となります。変動要因のことを、相場の用語では「材料」とも言い「材料は出尽くした」と専門家が口にしたりしていますよね。
この市場と相場の違いを端的に言うと、下記になります。
市場:物を売買する場所
相場:その市場における物の価格
※英語で訳すと「市場」も「相場」も同じマーケット(market)になります。
資産運用に置ける金融の市場においても相場があります。株式相場、為替相場、その他それぞれの取引所で付いた値段を元に、日々取引が行われています。
いわゆるこの市場と相場の先行きの予想を、各それぞれの専門家がニュースやその他の情報を材料に、見通しを発表しています。それぞれの専門家を金融業界では、アナリスト、ストラテジスト、エコノミストと言ったりしています。
マーケットの見通しを考える上での前提
ここでは、この市場と相場の見通しを考える上での前提についてお話します。
一般的に相場の見通しを考える上では、過去、現在、未来の時系列をベースに、現在の状況はどのようになっているか、過去はどのようなことが起こってきたのか、現在と過去の分析を元に、未来に起こりうる可能性はどう言ったものになるのか。
そのことを踏まえた上で、現在の需要と供給のバランスから、相場の価格はどの程度が適正になるのかを判断し、将来に起こりうる可能性を織り込んだ上で想定の相場の見通しを発表します。
その他、テクニカル分析やファンダメンタル分析、さまざま金融工学の理論を武装し、それぞれの見方から相場の見通しを発表するわけですが、その中で言えることは、
「これら専門家の言う予想は、さっぱり当たらない。」
ということです。
正確には、当たることもあるし当たらないこともあり、じゃんけんをして買いか売りかを決めるのとほとんど変わらない、ということです。
そのことを表す一つの例として、よく取り上げられるのが「LTCMの破綻」があります。
このLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)は1994年にジョーン・メリウェザーによって開設されたヘッジファンドで、このメリウェザーは当時、ウォール街の名門投資銀行であるソロモンの利益の半分近くを稼いでいたと言われる、債権の裁定取引部門のヘッドでした。メリウェザー の配下のスーパートレーダーもLTCMに加わり、さらにはノーベル経済学賞受賞者のロバート・マートンなど、その他当時の金融界のスターが参画した、大注目を集めたヘッジファンドでした。
このドリームチームとして崇められていたヘッジファンドが、最先端の知見と金融工学の理論を元に巨大なレバレッジをかけつつリスクをヘッジしながら運用した結果、わずか5年も立たない間に市場に翻弄されて破綻してしまったのです。
また、かの有名な投資の神様「ウォーレン・バフェット」も、「私には未来の予知などできない。もし、できるという人がいるのなら、私の目の前に連れてきてほしい」と、数十年前から述べているが、いまだにそのような人物は現れていないようである。
これたことからも、いかに投資のプロが予想を立ててリスクをヘッジして運用していたとしても、想定外のことが当然のように起こり、マーケットに翻弄されて損失を出してしまうということがお分りいただけると思います。
なぜ株価含めた相場の予想はできないのか
既にお伝えした通り「投資のプロの予想は当たらない」というのがあります。
ここでは、なぜ予想は当たらないのか、なぜそれぞれの専門家の相場の見通しは異なるのか、について順にお伝えしたいと思います。
結論としては、効率的な市場の中では既に今出ている情報の上では全て織り込み済みで、先に起こることは誰にもわからないからです。また、株価などは、事実や実態だけでなく感情も含めて動くからです。順にご説明していきます。
投資のプロは、いわゆる金融のエリートであり、名門ビジネススクールや一流大学をトップの成績で卒業して、意欲と才能溢れる最高級の集団であります。その彼らが、市場で壮絶な競争を繰り広げるため、市場は限りなく効率化していきその結果、投資というゲームがただの運だけが支配するゲームに限りなく近づいてしまっているのです。
そのために、市場は常に効率化が促されており、すべての株価などの予想はあらゆる先を見通すための情報を織り込んだ適正な価格に落ち着いています。このことを「効率的市場仮説」といいます。このことにより、相場、市場の予想自体も効率的になっているために、先の将来を予想した上で確実に儲けるための市場の予想などはありえない、ということになるのです。
このことから、それぞれの投資の専門家の予想が異なる理由というのは、現在出ている情報は全て織り込み済みの上で、現在の情報とトレンドを踏まえた上での予想数値になっているので、過去の情報と現在の情報を捉えた状態での相場の見通しとなっています。ここで大切なことは、この予想というのは、あくまで、現時点で出尽くしている情報を元に出されている相場の予想である、と言うことです。
よく考えてみてください。
誰が次の日本の総理大臣になるのかわかりますか?
いつ、日本で天災が起きるかわかりますか?
アメリカと中国の関係がどのようになっていくかわかりますか?
どの企業がどんな新しい発明をするのかわかりますか?
本当に当たり前のことなのですが、先の将来は誰にもわからず、常に予想外の出来事が起こっているのです。
そのため、まだ誰も知らない、株価などに大きな影響を与えるようなニュースが既にわかっているのであれば、おおよその予想を当てることはできるでしょう。
しかし、ここについても注意が必要です。と言うのは、株価などの市場は必ずしも経済のファンダメンタルズどおりには動かないということです。市場は往々にして、感情で動くケースが多いからです。そのため、仮に未来に起こることが正確にわかったとしても、実際の相場の価格は異なる場合が大半なのです。
よって、将来に起こることは誰にも予想ができないことであり、常に想定外のことが起こってるということ。加えて、仮に先の未来のことがわかっていたとしても、株価など相場の価格はファンダメンタルズだけでなく、投資家のその時々の感情によって価格が決まっており、経済の実態と株価は常に乖離が起きているということ。
この2点から、投資のプロでも株価の予想はできない、ということになるのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか?
結局のところ、自分の信じている投資の専門家の予想に任せて運用してみたり、素晴らしいファンドマネージャーのいる投資の専門家が運用している投資信託に投資をしたとしても、結果的に必ず儲けるないことが理解できたと思います。
つまり、投資のプロは株価の予想はできない、確実に儲ける情報だったり、方法というのはないということなのです。
では、投資なんかしない方が良いのか?
このことはまた、別の視点から考えた方がいいと思います。
というのは、投資は「楽しくおもしろいギャンブル」であるからです。
このことについては、続きを書きますのでお楽しみに。
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